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妄想シンドローム
第7章 意外な正体




 どうやら由奈は杏璃が春馬と――男と二人で旅行に行っても平気なのかを心配しているようだった。それを聞いた杏璃は笑い飛ばす。


「ないない! 私と春馬が間違っても間違いなんて起こらないって!」


「そうは言っても春馬くんだって仮にも男なんだよ?」


「春馬は男ってより、春馬っていう生物なんだよねー」


「どんな認識よ。……杏璃ちゃんはそうでも向こうは――」


「それにうちの親だって、春馬と一泊で旅行って話しても、“そうなの? お土産よろしくねー”で終わっちゃうくらいの関係なんだって!」


「信用されてるってより、杏璃ちゃん一家の春馬くんへの認識が男じゃないってのが解ってきた……」


 春馬と自分がどうこうなるだなんてまったく想像がつかない。だが一応想像を働かせてみる。


 春馬の肩に頭を乗せて寄り添っていると仮定しよう。しかし次の瞬間には“重い!”、“肩が外れる!”などの罵声が飛んできて、いいムードはぶち壊されて妄想は早くも中断。


 ……うん、ないな。と杏璃は結論に至る。


「話は戻るけどさ。ほんと、春馬くんと藤堂志保ってどういう関係なんだろーね」


 由奈の切り出しで、杏璃も妄想から引き戻される。






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