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妄想シンドローム
第1章 彼女が○○を目指した理由〈ワケ〉
司の部屋を訪れたときのことを思い出すと、彼は何やら布団の中でごそごそとしていた。その様子も詳細に春馬に話していたため、春馬は官能小説を読むことと自慰を結び付け、断言したらしかった。
だが杏璃からしたら、今日の今日まで司は聖人君子で、性欲とは無縁な――それこそ悟りを開いたような存在と思ってきた。
彼がこのような本を読んで自慰をしていると想像したくもないし、直接的な言葉で現実を突きつけられたくもないのだ。
「あー……うん、そうかもだけどー……私にもあの男を理解しろってこと?」
買い込んできたのは春馬が持つ一冊だけじゃなく、財布の中身がすっからかんになるくらいの量だ。しかも小説だけでなく、女性が裸になりポーズを取っている写真集や、コスプレをしている物だったり、果ては縛られたりしている物まである。
「まさか。いや、ある種そうなるのか……。ともかく奴はコレを高尚と言ったんだよな?」
「うん、まぁ」
「その高尚な物を見下していた女が書き、それで自慰したと知ったら……屈辱じゃないか?」
悪魔の笑みが杏璃の肌を撫でる。
まさか……、いや、嘘だろう……?
「は……はぁぁぁぁ!?」
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