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妄想シンドローム
第7章 意外な正体
遼子は二本目のビールを早々に開け、饒舌さが増す。それに加え、酔っ払い特有の同じ話題を何度も繰り返す状態に陥り始めた。
「しっかし、あんたらがまだつるんでるとはねー。優希と杏璃ちゃんってタイプ全然違うじゃない。ずっと仲良いんだっけ?」
「いえ、あのだから……。高校では疎遠に」
「そうだった、そうだった! 高校は別なんだっけ。じゃああの子、寂しがってたんじゃない?」
「寂しがる? 誰が?」
「優希よ、優希!」
「いやいや、ないですって。第一春馬も高校んとき彼女いたから」
「は!? 嘘! マジで!?」
遼子はさぞ意外そうに目を丸める。
杏璃も直接春馬から聞いたのではなく、同中出身の友人から伝え聞いていた。そのことを彼女へ教えていると、春馬がビール缶の入った袋をぶら下げて戻ってきた。
「ちょっとあんた! 彼女いたってほんと!?」
遼子はねぎらいの言葉もなく、春馬を問い詰める。
その春馬に睨まれた杏璃は、そーっと視線を泳がせて遼子がつまみとして食べていたイカの燻製に手を伸ばして口へと運び、素知らぬふりをしてみる。
遼子に余計な入れ知恵をしたことを叱られませんようにと内心ひやひやだ。
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