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妄想シンドローム
第7章 意外な正体




「春馬にはもったいないくらい超可愛かった!」


 どうせ痛い目見るならやけくそだと、晴れやかな顔で暴露する。


「おま……っ!」


 裏切ったなとばかりに、春馬は物凄い形相で睨みつけてきた。だが遼子の前で制裁は加えられないので、睨むだけでとどめている。


「彼女、可愛かったの!?」


「はい! こう……守ってあげたくなるような。ほわんとした感じの子でしたよ」


「うっそ! やっぱ生意気! あんたにゃ顔面ゴリラみたいな子がお似合いよ!」


「あっはは! 顔面凶器と顔面ゴリラ! 凶暴カップルでお似合いかも!」


「誰が顔面凶器だ! つーかなんでお前が見たことあるんだ」


「同中の子にプリクラ見せてもらったもん」


 春馬がプリクラを撮る印象がなく、意外だったのを覚えている。


 見せてもらったそれを食い入るように眺め、加工してあるんじゃないかと疑ったほど。


 映っていたのは記憶より成長した春馬。表情はいかにも彼らしく、仏頂面をしていた。その春馬の腕に絡みつく彼女は補正の必要がない愛らしい顔。


『ゆーくん』、『みーちゃん』と彼女の手書きで愛称が書かれていて、真ん中にはハートマークで仲のよさをアピールしてあった。


 春馬がゆーくんと呼ばれているのも、春馬が彼女をみーちゃんと呼んでいるのも、想像したら笑い転げそうだったのもよく覚えていた。






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