この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
妄想シンドローム
第1章 彼女が○○を目指した理由〈ワケ〉



 杏璃が指定したカフェ。それは乙女からしたら楽園とも呼べるべきスペース。


 陶器の置物はどれも可愛らしく、凝った代物ばかり。テーブルごとに置かれる、丸いガラスの器には、小さな白い花が癒しを添えている。


 上部が曲線を描く窓に引かれるレースのカーテンは、そよ風でも吹けば蝶の羽のように軽やかに揺れ、店内に光を舞わせる。


 そして極めつけは、ピンク色を基調とした空間。


 集う客の大半は女性――現時点で春馬を含め、男性客は二人のみ。


 まさに乙女の楽園そのものである。


 そんな場所で、カップルに見えるだろう片割れが号泣しようものなら……なるほど、春馬が眉間に深いシワを寄せるのも頷けるわけだ。





「でも実際暇だから来てくれたんでしょ? それに……こういう可愛い場所のが、ちょっとでも傷が癒えるかなって」


 杏璃は鼻をスンスンと啜り、あとからあとから零れる涙をハンカチで拭く。


「暇じゃない! けどお前が死にそうな声で電話してくるから仕方なくだ」


「うん、ごめん……」


 見るからに痛々しい表情で、けれど無理に笑みを作る杏璃。


 泣いたからか、幾分かは心の痛みが取れた気もしないでもないが、春馬に電話をかけたときは本当に死にそうだったのだ。





.
/248ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ