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妄想シンドローム
第2章 いざ、始動




 春馬に目障りだと言われたあと、杏璃はべそをかきながら泣き言を彼に話した。


 そうしたら彼は「可愛い顔で笑えば何でも許されていると思っているところが悪い」だの、「話すときは一拍置いて、考えてからにしろ」だの、「世界の中心は自分だと思うな」だの散々な言われようだった。


 しかしそれらの罵倒は杏璃の心に妙に響いて、彼なりに杏璃の悪いところを指摘して、人付き合いが円滑になるように考えてくれたのだと受け取った。


 杏璃はそれ以降、彼の言葉に従って行動していたら、友人関係が上手くいくようになったものだから、アドバイスと考えるのも当然なんじゃなかろうか。


「あれはお前に本気でイラついてたから、本心で言っただけ」


「うん。それでも私は春馬に感謝してるんだけどね」


 杏璃はへへっと照れ笑いをする。


「さっき不思議と言ってたのは俺の聞き違いか?」


「まぁまぁ! ここは私の奢りだから、たーんとお食べ」


「誤魔化すな。それに当然だ。こんな場所に何度も呼び出され泣かれて」


「可愛いじゃん、このお店」


 キラキラした物やピンク色で埋め尽くされる空間と、春馬に愚痴ったからか、杏璃に自然と笑顔が戻っていた。






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