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妄想シンドローム
第2章 いざ、始動



「なんだその気の抜けた返事は。まさかお前、この期に及んでやめたいなんて言い出さないよな」


「言わないって。私の過去三年と少なくとも大学三年間をあいつは食いつぶす気だよ? 絶対あいつに復讐してやんなきゃ、私の純情が気が済まないって言ってる!」


「よし。なら具体的な話をするぞ」


 春馬に座れと言われたので杏璃は寝そべっていたベッドの上で起き上がり、膝を抱えて所謂体操座りをした。


 春馬は杏璃のその行動がいたくお気に召さなかったようで、舌打ちをして睨んでくるものだから、仕方なく床に正座する。


「まず自作の小説でデビューする方法は大きく分けて三つ。一つ目は出版社へ持ち込み。二つ目は新人賞を取って、出版社の目に留まる。三つ目はネット上の小説サイトに投稿して、書籍化を掲げているコンテストで入賞すること」


 春馬が一本、また一本と指を立てて説明していくのを、杏璃は感心して頷く。


 本来なら杏璃自身で調べなきゃならないことを、杏璃に読書と妄想をさせるために、春馬が調べてくれたのだ。






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