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妄想シンドローム
第2章 いざ、始動
「それで私はどの方法を取ればいいの?」
「消去法でいくぞ」
前置きをして春馬がかいつまんで説明したのはこうだった。
まず持ち込みについて。これは編集者は持ち込まれた原稿を受け取るだけ受け取って、目を通さないことが多いらしい。持ち込んだ側に何らかの“箔”があれば別らしいが。
要は売れるかどうか不明な物まで手が回らないということらしい。
次に小説サイトへの投稿だ。春馬が調べたサイトでは、コンテストを一次通過する基準として、読者投票があるとのこと。
つまりはすでに人気を博している作家が大いに有利であり、どれだけ良作を書こうが読者の目に留まらなければ、肝心のプロが評価して入賞に至る二次にいけないとのことだ。
もちろん持ち込みやサイト投稿で商業化されないということはない。運と実力さえ掴めれば、十二分に可能性はある。
「お前に運を求めちゃ酷ってもんだろ?」
「ちょっと! ないのは男運だけですー!」
「男を見る目もな」
「それな!」
切れのいい動作で両の人差し指を春馬に向けた杏璃を、彼は憐れみの眼差しで迎えたのだった。
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