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妄想シンドローム
第2章 いざ、始動
「ほんとに何もないのか? まったく? 少しも?」
矢継ぎ早に訊ねられ、杏璃は思考を巡らせてアイデアを絞り出す。
「ううーん……。これだけはないなってのは決まってるんだけどね」
「言ってみろ」
「凌辱モノと小児性愛好モノ」
春馬と書店へ出向いた際に、彼がカゴに放り込んだ中にそういった類の物もあった。どちらも抵抗を覚えたが、金銭を払って買ったのだからと自分を納得させて読んではみたが、やはり受け付けなかった。
「どちらも奴が好みそうなんだがな」
「それでも無理。想像するだけで鳥肌」
凌辱モノの物語は、最初は泣き叫ぶ女が度重なる凌辱で、快楽に溺れていくという内容だった。
文中での描写は、流石プロといった具合で、生々しい想像を駆り立てた。それ故、序盤で女が無理に肌を暴かれて、心身がズタズタにされる様も目に浮かぶようで。
同じ女として、そして自分がされているような心境になり、辛くて何度も読書を中断したくらいだった。
『いやぁぁ! やめて、お願い! 誰か……誰か助けてぇ!』
文章の叫び声が耳元で聞こえる幻聴が、今なお張り付いているようで、杏璃は耳を塞いでブルリと震える。
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