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妄想シンドローム
第2章 いざ、始動
それで誤魔化せたかどうかは定かじゃないものの、春馬は話題を引っ張る気がないのか、それとも呆れているだけなのか。ともかく小説の話題に軌道修正をした。
「次に暇なのはいつだ? その時までに大まかなプロットを出せ」
「プロットって?」
「そのくらい自分で調べろよ。……あのな、プロットってのは小説の筋、構想のことだ」
「ほぉ~。春馬って物知りだねぇ」
「感心している場合か。いいか。次までに出来てなきゃ、さっきの倍の痛みを覚悟しておけ」
「ええーっ!」
「ええじゃない。まだまだやることはあるんだぞ。解ってのか?」
杏璃が曖昧に笑うと、春馬は盛大な溜め息をつく。
「推敲、校正! その都度やってはいくが、それでも期限前にとなると時間はいくらあっても足りないくらいだ」
「え? やるって誰が?」
「お前だ、お前! もちろんチェックは俺もやる」
「あ、私か……って、春馬も!?」
「他に誰がいる? 俺はこれでも読書量ならお前の元カレにも負けないと思うぞ」
「そうだったんだ……。春馬って読書家なんだね」
長く友人をしていても、知らないことは案外あるものだな。
「春馬も官能小説読んでたなんて……嘘です、嘘! 冗談だってば!」
ぬっと伸びてきた春馬の手に、腕を額の前で咄嗟に交差して防いだ。
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