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妄想シンドローム
第2章 いざ、始動



 義父が突然眠たいと言い出す。一人では歩けそうにないから、寝室まで送っていって欲しいとも懇願された。


 昌子は二つ返事で了承し、義父の寝室まで肩を担いで送る。細い昌子の身体に老齢とはいえ、大の男の体重が重たく圧し掛かる。よたよたと足取りは覚束ないが、どうにかして辿り着いた。


 彼女は義父を床に下ろすと襖の奥から布団を取り出し、畳の上に敷いた。そこへ義父を寝かせようと、再びふらつきながら彼を立たせて寝かせる。


 とその時。偶然を装った義父の手が、滑り落ちる間際に昌子の乳房に触れた。


「ん……」


 掠めた場所が蕾だったためか、または別の理由でか。昌子の口からあえかな吐息が洩れる。


 昌子はまずいと思ったが、どうせ義父は明日になれば忘れているはずだと、平静を装って「おやすみなさい」と言って去ろうとした。


 しかし彼の手が昌子の手首を掴み、自分に引き寄せたではないか。


 どさりと義父の胸に昌子の身体が崩れ落ちる。


「お、お義父さん!?」


「昌子さんも寂しいんだろう?」


 慌てる昌子の耳元に義父の囁きが響くと共に、乳房がしわがれた掌に覆われた。







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