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妄想シンドローム
第1章 彼女が○○を目指した理由〈ワケ〉
爽やかで清潔感があり、上品さまで纏った司は、他の子供っぽい同級生の男子とは一線を画していた。
その司と杏璃は高校一年生のときに同じクラスで、共にクラス委員を務めたのを機に仲を深めた。
元々面食いでもなければ、理想が高いわけでもない人間であっても、顔良し、性格良し、頭良しの異性が近くにいたら――?
まして多感で年頃の子ならば。それはもう自然の理かの如く、行為を抱くのが必然。
しかもちょっとばかり意識しだした頃に、その相手からはにかみながら「付き合ってください」だなんて言われた日には。
NOの二文字は、世界から完全に消滅したといっても過言ではないだろう。
かくして人生初の彼氏をゲットした杏璃。その彼から大事に大事に、まさに姫のように扱われ、恋の暴走特急は加速に加速を重ねてきたわけであるが。
――『ごめんね。熱があるみたいで、今日は講義を休むよ』。
杏璃がメールを送って数分後。司からの返信メールに「大変! お見舞い……ううん、看病しなくちゃ!」だなんて余計なことを考えさえしなければ。
今なお、暴走車両は加速を重ねていただろうか――。
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