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妄想シンドローム
第3章 類はなんとやら
「それはそうと……肝心の部分は大丈夫だよな?」
遠慮がちに落ちてくる声に杏璃は頭を上げる。
「肝心の部分?」
眉を顰めて反芻した杏璃は、ああ、と思い当たる。
「官能描写のこと? それならバッチリオールオッケー!」
「その無駄な自信はどこから来るんだ……。何をするかも解ってるよな?」
「あったりまえじゃん! 知識だけは人の三倍くらいになってるから! 男のアレを女のアソコに突っ込めばいいんだよね!」
自信満々に言う杏璃。一方の手の指で輪を作り、もう一方の指を輪にズボズボと抜き差しの動作をする。
春馬はそれを見て、顔を顰める。
「お前なぁ……。もうちょっと恥じらいとか持てよ」
「えー、だって。官能小説書けって言ったのは春馬じゃん。春馬に恥じらってたってしょうがないでしょ」
「そりゃそうだけど、言い方ってもんを考えられないのか? 言い回し、表現。普段から試行錯誤してこその物書きだろーが」
「はいはい。……春馬って小姑みたい」
ボソッと零す悪態。この程度は杏璃と春馬の会話では日常茶飯事だ。
ここでやめておけばいいものを、杏璃は慣れない執筆作業の鬱憤から不用意な発言をしてしまった。
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