この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
want to be ...【短編集】
第8章 矢野家訪問
次の日。
ふっと目を覚まして、そのまますぐに身体を起こす。
「…蒼汰、おはよ。起きて」
まだ寝てる蒼汰に一応声をかけ、裸の身体にバスローブを羽織ってベッドを出た。
ん〜っと伸びをしてカーテンを思いきり開けて朝日を取り込むと、ベッドで何か言ってる蒼汰をスルーして寝室を出た。
顔を洗ってコップに注いだ水を飲み、冷蔵庫を覗く。
…たまにはパンにしようかなぁ。
冷蔵庫にある野菜を全部使ったスープと、ベーコンとほうれん草を混ぜたスクランブルエッグを作る。
3日間いないから、賞味、消費期限が近いものは全て使い切る。
昼に出るって言ってたから、道中で食べるのにおにぎりも作ろうかなぁ。
昨日作っておいた鮭のフレーク使っちゃおう。
料理のこと考えるのってやっぱり楽しいな。
寝起きが異常にいいあたしは、まだ寝てるだろう誰かさんと違って朝から頭がすっきりしてる。
鼻歌を歌いながら朝ご飯を作り終え、お昼の軽食用として、冷凍ご飯を解凍して鮭フレークと混ぜてると。
…あれ。
そういえば…蒼汰の家に持って行くもの、買わなきゃいけないんだよね?
しかもたぶん蒼汰、今日の準備全然してなさそうだったし…
呑気に寝かせてる場合じゃなくない?
起こさないと。
手に持ったご飯の塊を三角形に形を整え皿に置き、手を洗って寝室の方に行くと。
掛け布団の中に丸まって寝てて、姿が見えない。
…いくら眩しいからって!
「蒼汰!起きてっ」
そう言って掛け布団を剥ぐと、身体を丸めて寝てた蒼汰の眉がピクリと動く。
「はい、起きて!服着て!ご飯食べて行く準備っ」
…ここまで言って、なんだか母親みたいだと苦笑いがこぼれる。
「〜…、杏奈〜寒い…」
「じゃあそのまま起きて」
「…無理…寝る…」
「…もう11時だけど?(勿論嘘)」
「…」
しばらく沈黙が続いた。
…あれ。
もうこの手には乗らなかったか…
えー…なら叩き起こすしかないかぁ。
そう思い、肩に手を掛けようとすると。
「…はぁっ!?」
勢いよく起き上がった蒼汰にびっくぅ!!と身体が震えた。
「じっ…11時!?ざけんなっ、やべぇじゃん!」
…あ、あぁ。
めちゃくちゃ信じてる。