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want to be ...【短編集】
第8章 矢野家訪問






次の日。


ふっと目を覚まして、そのまますぐに身体を起こす。


「…蒼汰、おはよ。起きて」


まだ寝てる蒼汰に一応声をかけ、裸の身体にバスローブを羽織ってベッドを出た。


ん〜っと伸びをしてカーテンを思いきり開けて朝日を取り込むと、ベッドで何か言ってる蒼汰をスルーして寝室を出た。


顔を洗ってコップに注いだ水を飲み、冷蔵庫を覗く。


…たまにはパンにしようかなぁ。


冷蔵庫にある野菜を全部使ったスープと、ベーコンとほうれん草を混ぜたスクランブルエッグを作る。


3日間いないから、賞味、消費期限が近いものは全て使い切る。


昼に出るって言ってたから、道中で食べるのにおにぎりも作ろうかなぁ。


昨日作っておいた鮭のフレーク使っちゃおう。


料理のこと考えるのってやっぱり楽しいな。


寝起きが異常にいいあたしは、まだ寝てるだろう誰かさんと違って朝から頭がすっきりしてる。


鼻歌を歌いながら朝ご飯を作り終え、お昼の軽食用として、冷凍ご飯を解凍して鮭フレークと混ぜてると。


…あれ。


そういえば…蒼汰の家に持って行くもの、買わなきゃいけないんだよね?


しかもたぶん蒼汰、今日の準備全然してなさそうだったし…


呑気に寝かせてる場合じゃなくない?


起こさないと。


手に持ったご飯の塊を三角形に形を整え皿に置き、手を洗って寝室の方に行くと。


掛け布団の中に丸まって寝てて、姿が見えない。


…いくら眩しいからって!


「蒼汰!起きてっ」


そう言って掛け布団を剥ぐと、身体を丸めて寝てた蒼汰の眉がピクリと動く。


「はい、起きて!服着て!ご飯食べて行く準備っ」


…ここまで言って、なんだか母親みたいだと苦笑いがこぼれる。


「〜…、杏奈〜寒い…」


「じゃあそのまま起きて」


「…無理…寝る…」


「…もう11時だけど?(勿論嘘)」


「…」


しばらく沈黙が続いた。


…あれ。


もうこの手には乗らなかったか…


えー…なら叩き起こすしかないかぁ。


そう思い、肩に手を掛けようとすると。


「…はぁっ!?」


勢いよく起き上がった蒼汰にびっくぅ!!と身体が震えた。


「じっ…11時!?ざけんなっ、やべぇじゃん!」


…あ、あぁ。


めちゃくちゃ信じてる。


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