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want to be ...【短編集】
第8章 矢野家訪問
伊達メガネ越しに合った目が意地悪そうに輝く。
「隣に男座って来やがったら交代してやる」
「…その男の人と楽しく会話するからいいもーんだ」
「ははっ…犯すぞ?」
「っ」
にこにこ笑顔で恐ろしいことを言う蒼汰。
「っやれるもんなら」
「おぉ。地雷踏んだね〜?」
「にっ…逃げて違う席行ってやる!」
「更にでけぇの踏んだな〜」
肩を抱き寄せられ、ひぃっと身体を竦ませた。
「結婚約束した男より他人を選ぶのか?杏奈ちゃん」
その言葉に蒼汰を見上げる。
…あ、頬にまつ毛付いてる。
「蒼汰かなぁ」
言いつつ蒼汰の伊達メガネを外し、頬のまつ毛をつまんで取る。
…びっくりしてる顔、可愛い。
「何?え、あっ?」
「まつ毛付いてた。…長っ!?何これ何センチ!?」
「やめろ怖いわ。ミリだろミリ」
「あっ…」
あたしの手からまつ毛を取り、どこかに飛ばす蒼汰。
「…あー蒼汰の分身がぁ」
「…えっ俺の分身あんなちっぽけなの?
捨てちゃったけど、ねぇ」
「はい、メガネ」
「かけてていいよ」
「イヤ。今の髪に合わない」
「だからペアルックしてったら喜ぶっつったのに〜」
「ヤだよ!こんな時は絶対嫌!」
「…とか言いながらちゃっかりして来てるでしょ?」
「…」
ムスッとして蒼汰の手を強く握る。
珍しく蒼汰から
「ペアルックしてこう」
と言われたあたし。
…嬉しいけど!
嬉しいけど!
今は違う!
挨拶!挨拶だから!!
でも2日目に挨拶するつもりだと言われ、ならいっかと思ってバレないようにすぐコートを着たつもりだったのに…
「ニット帽持って来といたから新幹線乗ったら被りな」
「!?」
えっ!
もしかしてバレてるの!?
「…おそろい」
「ぎゃっ」
語尾にハートマークがつくくらい甘ったるい声で言い、コートの胸元に手を突っ込んでくる蒼汰。
バレてるー!
「…触らないでっ」
「え〜酷くねー?」
「うるさいバカ」
「ごめんごめーん」
「こんなところでしないで!」
「…ベッドでならいいの?」
ああ言えばこう言う!