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want to be ...【短編集】
第8章 矢野家訪問
更に、
「…濃厚」
真顔で呟かれた言葉に再び苦笑いした。
「ねぇ。超濃厚だったんですけど?」
「そ…りゃあね。昨日の夜シてないし抜いてないから」
「喉イガイガするんだけど。
ていうか顔にぶっかけるとか最悪」
そう言って咳き込んでみせる杏奈。
「スミマセン申し訳ないほんとごめんなさい」
「許さないもん」
「えー…お願い許して?」
「許すかバーカ!蒼汰のバーカ!」
フンッ、とそっぽを向いた杏奈の髪は乱れていて。
たまらなく、ベッドに沈めて啼かせてやりたくなる。
「ていうか。さっさと説明して。
どうしてあんなことしたのか」
「だ…から、杏奈が俺のをしゃぶってきたの!」
「止めてよ!じゃあ止めてよ!
何であたしが寝ぼけて蒼汰のしゃぶるの!」
「知らねぇよ、つーか止めれる方が凄ぇわ!
有り得ねぇくらい気持ちよかったんだぞ!」
「あっそう、よかったね!
でもこっちは不愉快極まりないの!」
「すみませんね!」
「しかもその後押し倒してくるとか更に不愉快!
昨日からほんっと…盛すぎだバーカ!」
「仕方ねぇだろ可愛かったんだよ!」
「っ、あたしが意識ある時にしてよ!」
「甘えてくる杏奈可愛すぎたんだよ!」
「甘えてないもん!甘えてないし!」
「甘えてたっつの!
あれを逃すのは酷だわさすがに!」
「いや、あたしのこと振り払えるでしょ!?」
「あぁん?んなこと出来っかバーカ!
あんな素直に縋りつかれて振り払える訳ねぇだろ!」
そう言うと大きく目を見開き、頬を膨らませてそっぽを向かれる。
「…、」
何だろう…
杏奈、思ったより怒ってないかもしれない。
杏奈ってさ、キレたらハンパなくヤバいんだよ。
後ろに死神背負ってて、頭いいから口も達者で絶対勝てねぇの。
だけど、今は…
すると、真っ赤な顔の杏奈が恥ずかしそうに俯き、ゆっくりとベッドに座り込んだ。
「…襲うなら、うちだけにして。
うちでなら、…その。ちゃんと甘えるから…」
「…」
え
「…?」
え?
…ちょ、
えっ?
何、今の。
ぽかんと杏奈を見上げる俺。