この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
want to be ...【短編集】
第8章 矢野家訪問
ちら、と俺を見つめ、目が合って慌てたように逸らす杏奈。
…待って。
どうしよう。
可愛くてたまらない…
「…杏奈」
小さく呟くと、びく、と身体を震わせる。
「…、な…に」
「キスしたい」
「…ダメ」
「何で?」
「…イヤ。喉イガイガしてるから…」
「俺が治してやる」
「…や、無理でしょ…」
「逃げんなよ。…杏奈」
「…っ、やだぁ…」
じりじりと、ベッドの上の杏奈に近付いて。
柵を背に、杏奈の身体を閉じ込めた。
顔を近付けると、サッと手で口を覆うから。
その手をぺろりと舐めた。
ビク、と身体を震わせ瞳を潤ませる杏奈。
「杏奈。可愛い」
「やだ…」
「何で?…キスしたい」
「喉イガイガするんだって…」
「後で飲み物飲も?」
「…今がいい」
「ダメ」
「なんっ…、…!」
顔を上げた杏奈の唇を塞ぐ。
やばい…
可愛すぎて無理。
「やだって言ってっ…!…んんっ」
抵抗を繰り返す杏奈の両腕を掴んで柵に押し付ける。
「…っぷは、…っ、はぁっ、は…」
涙目で荒い息を吐く杏奈の身体を抱き、見上げてきた杏奈に再び唇を重ねた。
俺の首に巻き付く杏奈の細い腕。
唇を重ねたまま口角を上げ、舌を挿し込んで絡め取った。
いつものように、溶け込んでいくような快楽に包まれて。
反応する下半身。
力が抜けそうになってる杏奈の身体ごと、俺達はベッドに倒れ込んだ。
杏奈が上、俺が下になっていたのを舌を絡めながらひっくり返し、ひたすらキスに溺れる。
唾液を伸ばして唇を離し、俺を上目遣いで見上げる杏奈の髪を撫でた。
「…抱きたい」
「…だめ」
「何で…?」
「…っ、な…何ででも」
唇から垂れそうになった唾液を、ぺろりと絡め取る杏奈。
「…今日。蒼汰の母校連れてってくれるんでしょ?」
「そうだよ。でもまだ時間いっぱいあんじゃん」
「やだ…」
「何で拒否んの…?」
言いつつふと、ん?と感じた疑問に杏奈を見つめる。
本当にセックスしたくない気分の時の杏奈は、こんな可愛い拒否の仕方はしない。