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want to be ...【短編集】
第8章 矢野家訪問
ひとまず俺は、自分で思う短所を紙に書き出してみることにした。
ちゃんとA4用紙を用意して。
…絶望した。
多すぎてやばい、A4用紙1枚なんかじゃ足りん、ていうか俺短所しかねえ、いいの顔だけじゃね?
病みそうになって、こんなもん家においてたら変なもの寄ってきそうだと思い、超極秘で会社に持ち込み、しれっとシュレッダーをかけた。
粉々になったそれを更に2度目のシュレッダーにかけ、燃えるゴミの奥底に捨てるほどの周到さで。
大きなため息が出た。
ただ、シュレッダーにかけたことでなぜかすっきりしてる自分がいた。
次に俺は、某質問サイトにアカウントを作成して起こったことを書いてみることにした。
…更に絶望した。
非難、批判、暴言の山。
まあ当たり前なんだがコメント欄が俺を責める言葉で溢れかえった。
女性らしき人からの非難が特に多く、俺の心臓を貫通レベルで抉った。
そうですよね。
どこぞのAVのあらすじ読んでるのかと思いましたってね、確かに客観的に見たらこの世のものじゃねえわ。
死んで償うべきですわ。
止まらない批判。
俺自身にアドバイス等をくれる人は誰一人おらず、ひたすら非難され続けて鬱になるんじゃないかと思ったほどだった。
ていうか、ああいうので答えてくれるのは俺みたいなのが多いんじゃないのか。
無駄にプライドが高くて、自分の意見を押し通そうとして。
他の意見に決して耳を貸そうとしないで、自分が一番正しいと思ってる。
更に恐ろしいことにそんな愚かな人達でなぜかコメント欄内で言い合いが起きていたのにはゾッとして、アカウントごと消してしまった。
ああ…そうか。
言葉って、何よりも暴力なんだと。
コメントを見ていて、人それぞれ捉え方がすげー違うな、と思った。
ちゃんと読んだ上で、ご丁寧に俺の文章を1行1行引用して非難してくる「もしかして暇なんですか?」人。
えっ俺の親関係なくね?なぜか飛躍して会ったこともない人の親を批判し出す「いや逆にあなたの親の顔が見てみたいです」人。
なんで結婚式に参加したことを非難してくる「そこじゃないんですけど」人。
勝手に失望される「いや誰ですか」人。