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want to be ...【短編集】
第8章 矢野家訪問
「蒼汰。あんたね、何回も言ってるけど
美咲ちゃんにちょっかい出すのいい加減やめなさい。
美咲ちゃんは高宮くんと付き合ってるんでしょ」
「あんたのはね、好きな子相手に素直になれない
小学生か中学生みたいなちょっかいなの。
ほんとに好きなら正当法でいきなさい、正当法」
「好きな子相手に素直になれなくて嫌がらせみたいな
ちょっかい出すのは遅くても中学生までよ、
人によってはトラウマ抱えてしまうかもしれないんだから
それを分かって接しなさい。いくら幼なじみでも
美咲ちゃんは女の子なんだから」
「物心つく前から一緒にいた蒼汰じゃなくて
高宮くんを選んだってことは、蒼汰にはない魅力が
高宮くんにあるからだと思うよ。あたしも最初は正直、
美咲ちゃんうちの子になるのかなって思ってたもん」
「だけどそうじゃないのは美咲ちゃんが求めるものが
蒼汰にはなかったってことよ。
言っとくけど見た目ってそんなに関係ないからね。
結局人間なんて数十年したらしわくちゃになるんだから」
「本質が大事なのよ。美咲ちゃんが将来、
ああどうして蒼汰を選ばなかったんだろうって
後悔するようなでっかい立派な男になりなさい」
「もう大学生になるんだよ、社会人近いんだよ。
いつまでも親に反抗して文句や我がまま言ってないで
大人になりなさい。あんたあたし達に反抗して
全然言うこと聞いてくれなかったけど、
これからは自分でいっぱい失敗して学ぶのよ」
「親元を離れるなら、都会へ行くなら。
ここでの生ぬるい生活はもう出来ないんだからね。
誰も、何も教えてくれないんだからね。
あの時ああしてればよかった、なんて後悔しても
遅いんだからね。あたし達、必要なことは蒼汰に
全部教えたつもりで育ててきたんだから」
「お母さん達は、子育てのプロなんかじゃないし、
手探りだったし失敗もいっぱいしたし、
何なら3人育てた中であんたが一番大変だった。
だけど、好きな子を追いかけて勉強頑張って
東京の国立大学受かったところは、
姉兄の中であんたが一番すごい。ほんと頑張った。
奇跡みたい…お母さん達の、誇りよ」
「この努力は絶対、いつか報われる。
何か形にしてきっと報われるから、
東京行っても頑張って。応援してるから」