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want to be ...【短編集】
第8章 矢野家訪問
「そこはね杏奈。こうじゃね?」
まだ嬉しそうに笑ってる杏奈の手を引き、机の間を歩いて。
俺が座る席の隣に座らせる。
「こうしたらほら、同級生みたいじゃない?」
すると、キラッキラに目を輝かせる杏奈。
「…っ、すごい!すごいすごいほんとだ!
同級生で同じクラスで…っ、隣の席!わああ」
ぱちぱちと手を叩いて喜ぶ姿が可愛い。
「え?蒼汰すごくない?
そんな素敵なこと思いつくの?すごくない?」
「いや待てお前普通女の子が思いついて
男にやろうって言ってくるもんじゃねえの」
「そうなの??」
「えっ違うの」
「分かんない。
こんな素敵なこと思いつくの、蒼汰すごいね」
「…」
すごいもんなんだろうか。
「蒼汰モテたんだったらさ、席替えとか
女の子に喜ばれたの?」
「あー…席替えってなかったんだよな。
ずっと名前順で変わらなかった」
「えー!?そうなの!そしたらここいい席だね!」
「まあな、一番後ろだからな」
矢野と吉岡だから、1年の時クラスが同じだった俺達はずっと隣同士をキープしていた。
「席替えないって珍しいね、ある意味イベントじゃん」
「俺らの学校、移動教室の授業多かったからな。
クラス全員で授業受けることあまりなかった気がする…
クラス内でも成績ごとにわけての授業だったし」
「えええそうなんだ!」
「その辺都会の学校とは違うんかな」
「うーんあたし達は席替えは月に1回あったし
どの授業もほとんど同じクラス内でだったな」
「そうだよなぁこの学校が特別なのかもな。
成績ごとにクラス分けされてたからみんなわりと
勉強頑張ってたし」
「ふふっ蒼汰はどこだったの?」
「…3つあった内の一番下」
「ということはっ?」
「悪い方ですぅ」
「あははははっ」
「笑うなバーカ」
「美咲さんは?」
「あいつはな〜ほんと天才型なのか何なのか
いっつも一番上クラスだった。特進クラスいったし」
「さすがー!美咲さん素敵」
「俺もなー…美咲と同じクラスなりたくて頑張ってた。
1年のときは適当だけど2年は文系理系で、
3年は恐ろしいことに成績順でクラス分けなんだよ」