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want to be ...【短編集】
第9章 専属お料理教室
こんなに手際のいい杏奈でも指切ることあるのか…
「分かった。じゃあ蒼汰、後はあたしがするから見てて?
指の怪我治ったらまた一緒に料理しよう?」
「え、ちょっと痛えけど出来るよ?」
「ううん、ばい菌入ったら困るでしょ。今日は見てて」
「んー…」
何となく納得がいかないが素直に杏奈のいうことを聞くことにした。
俺の途中まで切ってあった玉ねぎを慣れたようにみじん切りにし、それをフライパンで熱しだして。
台の上に置いてあったボウルの中に卵を割って入れて、パン粉をサラサラっと入れて、炒めてる玉ねぎに胡椒と塩?を入れてフライパンを器用に動かしながら炒めて…
その様子をただ横でじっと見てるけど、本当に、
「手際いいな…」
恐らく2度目の感想が口から飛び出る。
くるくる動く杏奈を見てるだけでも楽しい。
それ2回目だよー?って言いながらにこにこ笑う杏奈。
料理をほぼしたことがない俺でも分かるくらい、杏奈の動きは要領よく手際がよくて、俺もこうなりたいとふと思った。
「…ねー杏奈」
「んー?」
「俺も一緒に料理してたら、杏奈みたいに
手際よく出来るようになるかな」
杏奈は少し考える素振りを見せて。
「…んーめっちゃ時間かかりそうだけど、たぶんなるよ!」
…という評価をいただいた。
それからは、ハンバーグを楕円形に丸める様子を見て、
から揚げの油は温度が大事なんだ、という話に相槌をうち、
だけどこのコンロは温度調節出来るから嬉しい、という言葉を聞いて、よかった、と思い、
ハンバーグを熱した後のそのままのフライパンでソースを作る姿に感動し、
いい色に揚がるから揚げに食欲をそそられ、
杏奈がいつもストックしてるキャベツの千切りを盛り付け、ハンバーグとから揚げを盛り付けた姿に思わず拍手した。
「えー?どうしたの」
「杏奈かっこよかった…」
「ほんとー?えへへへ」
「なんかめっちゃ大変だな」
「慣れたらそうでもないんだよー?」
「俺も慣れたい」
「ふふ。じゃあ怪我治ったら一緒に頑張ろうね」