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want to be ...【短編集】
第9章 専属お料理教室
「おう」
…と意気揚々と頷いたけど。
「そういえば杏奈は玉ねぎ大丈夫だったん?
それも慣れて痛くなくなるもんなの?」
「そうだよ?」
あっけらかんとした言葉に驚く。
「あはは、いつの間にか気にならなくなったんだよね。
玉ねぎはそういうものって思ってるというか…
でもね、たまにしみない玉ねぎもあるんだよ」
「へえ、そうなの?」
「この前作ったチャーハンの玉ねぎはしみなかったんだ〜」
「そんなこともあるんだな」
「たまたまだったのかもしれないけどね〜」
なんて話しながら料理をテーブルにセッティングし、2人向かい合って食べ始めた。
杏奈SIDE
目の前で美味い美味いって言いながら食べてくれる蒼汰。
嬉しそうな表情にあたしまで嬉しくなる。
料理の話になったときに、この人ももしかしたら女が料理するもんだ、って考えがある人かな、と不安になった。
あたしが今までお付き合いしてきた男の人達はみんな、家のことは女がするっていう考えを押し通す人達ばかりで、結婚を約束してる訳じゃない、お付き合いしてる時でも、こんなことまでやらなきゃいけないの?ってことまでさせられていた。
もしかしたら、あたしが何でもしてくれそうに見られていただけかもしれないけど…
だけど蒼汰は、そういった考えが全くない人だった。
ご飯を作ったら驚かれるし喜んでくれるし、ちゃんと「いただきます」「美味しい」「ごちそうさま」を口に出してくれる人で。
洗濯や掃除も寝ぼけながらでも自分でやっていて、何ならアイロンがけもあたしより上手なくらいだった。
「ご飯はさぁ共働きなんだし、先に帰った方がするのは?
まあ俺だと外食か買ってきたものになるけど」
「食費って何気に結構かかんじゃん。
悪いけど野菜とかの値段はよく分かんねえんだよな、
お互いわりと食う方だし高めに見積もっとくか」
こっちが驚くくらい理解があって、正直すごく嬉しかった。
「…その時食べたいものが分かれた時は?」
「それぞれ食べたいもの食べればいいんじゃね?」
「疲れて何もしたくないって時は?」
「あー、あるある。
インスタントとかコンビニでいいじゃん?」