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want to be ...【短編集】
第5章 温泉旅行 1日目
「凄い!乗りたーいっ」
「…いやあれは間違っても乗るもんじゃねぇ」
「…え?」
「乗れば分かる。つか受かったの奇跡だろ…
あいつ頭いいから本免満点だったんだけどさ、
ブレーキ踏むタイミングやべぇの超遅いの。
乗るんなら遺書書いた方いいぞ」
…そこまで!?
てか本免満点って凄い!
「乗るなら大樹の運転だな。あいつの運転は寝る」
…寝るの!?
「乗ったらな、惚れるよ。…あ!惚れんなよ!?」
「えっもう惚れてるけど」
「…あ!?」
「惚れない方がおかしいでしょ!
あんな素敵な夫婦!ほんと素敵~!」
「…あっ両方ね。大樹個人じゃないのね?」
「…ん?何か言った?」
「何でもないでーす」
嬉しそうに呟き、あたしを後ろから抱き締めて頭に顎を載せてくる蒼汰。
「あたしも免許取りたいなぁ」
「俺が持ってるからよくね?」
「ないよりある方がいいでしょー?」
「まあそうだね」
「蒼汰もいろいろ教えてね?」
「おう、手取り足取り腰取り教えてやる」
…なんて会話をしてると、あたし達の番がきた。
「はい美形カップルさん!くじ券何枚お持ちです~?」
「6枚ありまーす」
カップルじゃなくて夫婦でーす!
「じゃあ3回ずつですね!どうぞ~」
「…っしゃあ1等当てたるわ」
上機嫌で蒼汰が回して、出てきたのは。
「…げっティッシュ」
「あははっ」
「笑うなバーカ!ほら次お前しろよ」
「よーしっ」
…と意気込んで回したけど。
「またティッシュ~」
「…はっは!ドンマイ」
それからの1回ずつは、2人共お菓子の詰め合わせで。
半ば投げやりに、蒼汰が3回目を回した時だった。
「…はいティッシュー…う?」
出てきたのは、銀色の玉。
それを見た係のお兄さんが、あの「カランカラン」を鳴らした。
「…っおめでとうございます!
2泊3日2ペアで温泉旅行の旅~!」
「「…」」
蒼汰が当てたのは、2等の…
「…えぇ!?マジッ!?」
温泉旅行の旅。
まさかほんとに当てちゃうなんて…
喜びより驚きが先で、あたし達は目を見合わせ。
抱き合って喜んだ。