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want to be ...【短編集】
第1章 カナヅチ杏奈
「何ピリピリしてんの杏奈。生理か?」
「!」
その言葉に目を見開いて蒼汰を振り返る。
何てデリカシーない男なのこいつ!
「違うわバカ!もうっ…バーカ!」
掴んでた蒼汰の腕を振り払って海に向かって早足で歩き出すと、笑いながらついてくる蒼汰。
「ははっ…はいはい、ごめんって。
これからは俺といっぱい遊ぼうぜ?」
「やだ。泳ぐ練習する」
「お…いいじゃん。でも1人で出来ねぇだろ?」
「…うん」
「じゃあ教えてっておねだりして?」
「…嫌」
「じゃないと溺れても助けてやんないよ?」
…う、それは困る。
「…、…蒼、汰」
「んー?」
「…っ、え…と。一緒に泳ぐの、…泳ぎ方、
色々教えて…?」
…くっそ可愛い。
そっぽ向いて俯いてるけど、顔真っ赤。
「手取り足取り腰取り教えてくださいって言って」
「…」
ははっ、睨まれた。
顔真っ赤だから、可愛いだけだけど?
「…う、…。…手取り足取り、…腰取り。
教えて…くだ、さい」
うん…可愛いから合格。
「ん、じゃ浮き輪膨らまして」
「…え、」
「最初は浮き輪で慣らした方いいっしょ?」
「これあたしが膨らますの?」
勿論、というように微笑む蒼汰。
…あたしそんな肺活量ないのに!
「はい、ここ座って」
「…何でここなの」
腕を掴まれポンポンと叩いた場所は、砂浜に座った蒼汰の足の中。
「…やだ。お尻汚れるもん」
「今更じゃん。
さっきセックスした時思いっきり座ってたし」
「…っ!」
軽々しくそんな言葉口に出さないでよー!
仕方なく蒼汰の足の中に座ると、後ろから抱き寄せられて体が密着する。
「ほら、膨らませて?」
「…っ」
耳元で囁かれて、しわしわの浮き輪を両手で持ち、膨らませ口を口に含む。
ふー、ふー、ふーと懸命に息を入れてるのに、一向に膨らまない浮き輪。
「はぁ、…っふ、」
…つ、疲れてきた…
何かクラクラしてきたし…
「…蒼汰ぁ」
あたしを抱き締めてる蒼汰を見上げると。
「…っふ、くく」
「…?」
な、何で笑ってるのこの人。
「ちょ…蒼汰」
「ふはっ…」
…意味が分かんない!