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want to be ...【短編集】
第1章 カナヅチ杏奈
「ねぇ何で笑ってるの!」
腕の中で喚く俺の女。
今自分がどんな顔してるか分かってる?
すっげぇエロい顔してんだよ?
キスした後みたいな。
セックスしてる最中みたいな。
たまんねぇな…
「…しゃあねぇ、俺が膨らませてやる」
そう言って中途半端に膨らんだ浮き輪を杏奈から受け取り数回の息で膨らまし終えると、
「最初から蒼汰がすればよかったじゃんっ」
と拗ねる杏奈。
俺がしたら面白くないじゃん?
彼女の可愛いとこ、見たいじゃん?
いつも見てるけどね。
「はい」
膨らませ終えた浮き輪を頭から被せられ、肩から腰の位置に下ろす。
「ん。海行こ」
その声とぐいっと引き上げられた力強い腕に誘われ、海に向かって歩き出したあたし達。
最初はちゃぷちゃぷと足先だけで楽しみ、どんどん奥に誘導される。
浮き輪が水面につく位まで来ると、笑ってあたしを振り返った蒼汰。
「杏奈…そんなくっつかなくても、
いきなり手ぇ離したりとかしないから」
その言葉に蒼汰を見上げる。
…だって怖いんだもん!
蒼汰の腕に離れまいと密着してるあたし。
そんなあたしを見た蒼汰が、何か閃いたように意地悪く笑った。
…嫌な予感。
「…ね、ねぇ、どこまで行くの」
「も…足付かないんだけど。戻ろうよー…」
呼び掛けも一切聞き流され、あたしを引っ張りひたすら前に進む蒼汰。
「ほ、ほら、陸からこんな離れちゃったよ?
もう戻っ…、…!?」
ざぶん!
突然顔に水がかかって目を閉じ、蒼汰の方を向くと、そこに蒼汰の姿はなくて、あたしだけが広い海の真ん中にぽつんと浮き輪と共に残されてた。
「…え。蒼汰…?蒼汰ぁ」
泣きそうになりながら蒼汰の名前を呼び、辺りを見回すけど。
「…う、ひっく…蒼汰ぁぁ…」
どこにもいる気配がしない…
その時。
「…っ!?」
足に何かが巻き付いて、びくりと体を震わせた。
「っ!?嫌っ…やだ離してっ!触らないで…っ」
あたしに触っていいのは蒼汰だけだから!
するすると太ももを撫でられ秘部をくすぐられ、ビクッとしてしまう。
「やだっ蒼汰ぁ…っうぅ、助けて…」
ばしゃん!
後ろでした水音に急いで振り返る、…と。