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want to be ...【短編集】
第5章 温泉旅行 1日目
思わず両手を合わせてぎゅっと握りしめて大樹さんを見つめてしまう。
…ほ、ほんとに最高!!
あたしと蒼汰なんて…
「…俺が何でもいいよってお前に言ったらどう思うよ」
「…え?びっくりだ」
「だろ?」
「絶対言い合うよねあたし達」
「でも結局杏奈が食いたいものんとこ行くよな」
その言葉にうふっと笑って蒼汰にしがみつく。
そうだよ。
「次は絶対俺が行きたいところ行くからな!」
って言ってても結局あたしが食べたいもの食べさせてくれるんだ。
だから
「今日は蒼汰が食べたいもの食べよう」
って言った事あるんだけど、
「お前は何食いてぇの」
って。
「蒼汰の食べたいもの」
って言ったら…なぜかラブホテルへ。
で、蒼汰とラブホテルのご飯頼んで食べてエッチして出るという…
…あれって結局何がしたかったんだろう?
ていうか、結局あたしが食べたいもののところ行ってくれるから、美咲さんと大樹さんと一緒…?
あんま変わらなくない?
そんな事を思い出しながら蒼汰を見上げてると、あたしを見下ろした蒼汰が盛大に舌打ちする。
「…こっち見んなバーカ」
「ひゃあ!…あぁ何でーっ」
目を片手で覆われ、びっくりして蒼汰の手を掴む。
手を離されて、唇を突き出して蒼汰を見上げると、
「ウザい」
って言われてデコピンされる。
「ねぇねぇ大樹、ラブラブだね」
「…そうだな」
「蒼汰、杏奈ちゃん大好きだね!
しかも、お似合いすぎだよ〜」
「…うん」
「こんなデレデレな蒼汰初めて見たな〜」
「…、ねえ腹減ったんだけど!!」
なぜか突然そう叫んだ蒼汰。
「ラーメン食べたいな〜」
「…分かったもうラーメンでいいから行くぞ!」
1人で先に歩き出した蒼汰を眉をひそめて見つめる。
…どうしたんだろ蒼汰。
すると、ふわっとものすごくいい匂いが漂って、
「蒼汰、照れてるね!ふふふっ」
美咲さんがあたしに近付き、嬉しそうにそう言った。
可愛すぎて顔が緩む…
「ほら、行こっ」
大樹さんと繋いでる手と反対の手であたしの手を繋いでくれて、歩き出したあたし達。
照れてるの?蒼汰…
あたし達は耳が真っ赤な蒼汰を追った。