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want to be ...【短編集】
第5章 温泉旅行 1日目






「それで、体で実感した。
俺、美咲手放したら死ぬんだ、って。
それくらい美咲の存在は俺にとって大きくて、
心のどこかにあった迷いが一切なくなった」


「…っ、迷い…?」


「…蒼汰に美咲を譲るべきだって、迷い」


「っ…」


「一切、なくなった。美咲を手放したくなくて、
一時期美咲を監禁して、妊娠させる勢いで抱いたよ。
俺から離れてってほしくなくて。
…まあ、バレてたらしいけどな、
俺がそういう風に不安に思ってる事」


美咲さんを思い出してるのか、とても優しい、綺麗な表情を浮かべてる大樹さん。


「美咲は、俺が愛情を
セックスで表す男だって知ってるから。
それを知った上で一緒にいてくれてるから。
だからセックスの仕方ですぐに見破って、
俺の不安取り除いてくれた。
…まあでも、その時からだな。
美咲が、俺を安心させる為に
あまり蒼汰と会わないようになって…
蒼汰、知らねぇ女を次々抱くようになった。
あんなに美咲だけを好きだった、蒼汰が」


「…っ」


知らなかった事実に言葉が出ない。


…分かった。


だから、初めて会ったあの日…


「でも、それからすぐ。
蒼汰から杏奈さんの写真見せられて。
「可愛いだろ、この子俺のセフレなの」って。
蒼汰から女を紹介されたのは、あれが初めてだった」


…それからすぐ?


じゃああの泣いてたのは別の理由…?


…っていうか!


可愛い、って…


「言っとくけど、あれが最初で最後だよ。
それに、知ってるかもしんねぇけど。
蒼汰、杏奈さんと会ってから、
マジで杏奈さんしか抱いてねぇから。
…これがどういう意味を表すのか、分かるだろ」


止まったはずの涙が、再び頬を伝う。


「蒼汰、マジで杏奈さんしか見えてないよ。
だからこの先、杏奈さんが蒼汰に飽きない限り
一生あいつから離れられないだろうから。
あいつ、俺と似てるところあるからさ。
…だから、気を付けねぇと。
離れようもんなら、俺が美咲を監禁したように…
監禁して妊娠させられるよ」


「っ…!」


ぐらりと視界が揺れた。


その大樹さんの余りの色気に。


それに…ゆ、浴衣ってところが更に…


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