この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
want to be ...【短編集】
第6章 温泉旅行 2日目
「泣き虫」
「…っん、うるさい…っ」
「最近よく泣くよな」
「蒼汰のせい…」
「俺のせいかよ」
「…はぁあ!ん…っ」
グッと最奥を突かれ、シーツを握り締めて身体を仰け反らせる。
「何でやだったの?腕動かないの」
「…、…誰だって嫌だよ」
「それだけじゃないみたいだったけど」
「ん…っ」
顔の横で手を恋人繋ぎで繋がれ、思わず目を逸らす。
「…がよかった」
「…あ?何…」
「これがよかった…」
「…、もっとでけぇ声で言え、聞こえない」
「〜っ…」
もう、顔から火が出そうだ。
「…これがよかったの!
腕動かせないから何も出来なくて…、
蒼汰の事、っ抱き締めたり、
髪触ったり出来なくて嫌だったの!」
言った途端鼻の奥がツンとして、更に涙が溢れてきた。
やだ…何?あたし。
こんな事言うなんてドン引きだ…
両手を握られてて動かせないから、限界まで蒼汰から顔を逸らして涙を流す。
すると。
「…ふっ」
あたしに跨がる蒼汰が吹き出した。
「くっくっく…」
「…」
な、何で笑うの…
笑う蒼汰の身体の振動が繋がってる部分から伝わって、こっちまでくすぐったい。
ぐす、と鼻を啜ると握られていた手を離されたから、思わず蒼汰を見つめた。
「…?」
「…ん」
「!!」
あたしを抱き締めるように覆い被さってきて、潰されそうになり身体を縮みこませる。
「なっ、何…っ」
「いーよ、抱き締めて。ぎゅーっと」
「…!?」
「ん」
そっと繋いでた手を離されて、恐る恐る蒼汰の背中に腕を回すと。
「…もっと。ぎゅーっと」
「…、」
「もっと」
「…!」
結構強く抱き締めてるのに、まだ足りないらしい…
「ねっ…何か恥ずかしい。胸潰れる…」
「またおっきくしてやるから」
「…っ」
ぎゅううう。
更に強く、抱き着いてみると。
「…っ!?わっ…!」
視界が一気に変わった。