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逢瀬は月見橋で
第2章 あたしとユタカ

あたしを気に入ったみたいで、
ユタカは週に一度、必ず店にやって来た。
先客たちとあたしが話に盛り上がっている時は
ユタカは一人黙って酒を飲んでいた。
客が自分一人の時は、うって変わってしゃべりまくる。
そして、自分は独り者だから、とアピールしてくる。
安心して付き合えるよ、オレとならって。
「オレさぁ、一人っ子だから甘やかされて育った、なんて
いっつも言われんだけど、根はしっかりしてるんだぜ」
「なんか・・嘘っぽい!」
鼻にシワをよせながらユタカをからかう。
「しっかり者ならなんでまだ独り者なのよ」
たしかあたしと同い年って、言ってた。
結婚しないのかできないのか知らないけど・・
「それは・・結婚したいって思う女がいなかったからだよ。
咲穂ちゃんみたいないい女が回りにいなかったから。
だから一人なの。
そういう咲穂ちゃんは、なんで一人なんだよ?
言い寄ってくる男なんかいっぱいいただろ?」
あたしはフッと笑った。
そうだった。
あたしだってこの歳まで独身じゃないか・・
あんな恋をしたから・・
だから今でも独り・・・

