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逢瀬は月見橋で
第3章 逢瀬・・

「昔ね・・同じような事があってね。
 知り合いの女が・・
 旦那の浮気に耐えかねて手首切ったんだ。
 発見も早かったし傷も浅かったから助かったけどね。
 その女から相談を持ちかけられていたのにそこまでさせてしまった・・
 人助けが商売のオレが助けられなかったのが悔しくて・・
 命は助かっても体に小さな傷と心に大きな傷を抱えさせちまった・・
 だからね、人を助けられるなら多少の荒っぽさは善しとすることにしたんだ」


男は、転がっていた小石を川にむかって投げ入れた。
水音はかすかに聞こえ、再びせせらぎの音と虫の声だけになった。


「人助けの仕事って、どんな仕事?」


あたしは半開きの唇を気にもせず、男の顔を凝視した。
でも答えはまた聞けなかった。


「そのうちね、教えてあげる。っていうか、知ることになるって言ったほうがいいかな」


言い終わると、すくっと立ち上がり、あたしに手を差し出してきた。



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