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逢瀬は月見橋で
第1章 月見橋で・・

わざと・・男の前で襟元を引っ張って、ブラジャーを見せつけた。
男の視線はもちろん、くぎ付けになっていた。


「一瞬固まってた旦那が我に返って割って入ってきて引き離された・・
 あたしよりも女の心配してんのよ、大丈夫かって。
 悔しくて旦那の頭思いっきりひっぱたいて飛び出してきたの・・
 旦那、情けない声であたしを呼んでた・・なんて言ったと思う?
 ちゃんと帰ってこいよ、だって。バカじゃないの?」


自分の浮気現場を見られて浮気相手と取っ組み合いした女房に、
帰ってこいよってどういう神経してんの?
そう思うけど、何も持たずに飛び出してきちゃったし、
じつはこれが初めてじゃないし、
毎度のことだからまたあのボロアパートへ帰っていく。

そんな事を何度も繰り返して、いい加減慣れているけど・・
やっぱり許せない・・


「夢中で走ってきたのよ、この月見橋へ」



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