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逢瀬は月見橋で
第4章 男の正体は・・
「彼女は中学の同級生。
インターンを終えた頃、偶然病院の中で再会してね。
懐かしくって、話盛り上がって、それから付き合うようになって
30の時に結婚したんだ。
忙しいオレの体を気遣って、いつも栄養満点の食事作ってくれて。
でも・・病気の発見が遅くて、昨年・・まだ35歳だっていうのにさ」
昨年35ってことは今年36歳か。
あたしの一つ年上で、ユタカと同い年か・・
そんな若さで生涯を閉じることになってしまった彼の妻・・
この男も相当つらかっただろうなってそう思ったら
目のまわりが熱くなってきた。
「だからオレは天涯孤独。
両親も女房も死んじまって。兄弟もいないし。
だからどこでも好きな所に住める。
で、ちょうどこの町に医者がいないって聞いて。
静かな田舎町を気に入ってさ。
横浜とおんなじ神奈川とは思えないけど、かえってそれがオレの気を引いてさ。
こんなに静かな町ならおだやかに暮らせるだろうなって」