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ひずみ «短篇作品集»
第7章 未完成体




『ごめんね
私ばっかり、兄さんも 悲しいのに』


妹は 両親で亡くなってから 初めての 笑顔を見せ、薬を 飲み干す。


コクッ


妹の 白く細い 首筋が動き、薬を飲み干した事を見届ける。



「今日は 夢も、見ずゆっくり お休み」

『夢も 見ず?』

「ああ、此処 1ヶ月以上 オマエは 小さい頃の夢を見て、目覚めては、泣いていただろ?」

『…兄さんは 私の事が 何でも、解るのね』

「そりゃ、生まれる前から オマエと 一緒だからね」

『兄さん、ありがとう
明日から、泣かないように 頑張るね』

「ああ、お休み」



ー寝ている間の 出来事も 覚えてないだろうから…ー



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