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第3章 交差

朱里は初めての行為を前にして、先生とより親密になれるという喜びと同時に、純粋さから由来する幾つかの恐れを感じていた。

服を剥がれた姿が先生の思い通りでなかったらどうしよう。
いれられたら痛いのかな。
いやらしすぎたり、逆に何も反応出来なかったりして、嫌われたらどうしよう。

そんな事を思ってどきどきとしながら丁寧に身体を洗った。



お風呂から上がると薄紫色のタオル地の物が置いてあり、丁寧に畳んで置いた自分の服は全て片付けられていた。

（これを着ろ、ってこと？）

その薄紫色のものを開くと。

バスローブを置いておくと言われたのに、そこにあったのは可愛らしい綿のレースがついた、短いチュニックだけだった。

チュニックそれ自体は全くいやらしい要素を含んでいないのに、下に何も履くものがないというだけですごくいけない気持ちになる。

（これだけじゃ見えちゃう...！）

慌てて中田を呼ぼうとするが、今呼んでも全裸を見られるだけだ。
これからそういうことをするとはいえ、こんなに明るいところで見られるのはごめんだ。

仕方なく朱里はその服を着た。

（恥ずかしい...太腿の半分も隠れないじゃない）

すると、そろそろと中田の足音が近付いてくる。

ガチャ。

「あ...朱里」

中田がドアを開けた体勢のまま一瞬固まる。

「先生...」

「やばい」

中田は慌てて朱里から目を逸らしてお風呂へ入っていった。

（どうしたのかな）

仕方なく朱里はリビングへ足を踏み入れた。