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月の吐息
第3章 雲隠れ




■雲隠れ■




左手で電話をもったまま、右手で乳首を弄る。


「んっ・・・」


「もっと、触ってみて。どんな感じ?」


「あ、・・・はっ」


「勃ってきた?」


健二の声が、電話のせいで、いつもと違って聞こえる。


自分でするのと、誰かが聞いてる状況でのオナニーは、気持ちよさが違う。


カーテンの隙間から、細く一筋だけ月明かりが漏れてる。


月に隠れて、私は右手を動かす。



「ほら、美月。どう?」


「ん、うん・・・、勃ってる、乳首」


「あー、やべ。・・・その右手、腹まで下ろして」


一瞬かすれた健二の声にドキッとしながら、右手を臍のあたりまで下ろす。


「パジャマの下、脱いで。下着だけになって」


「んっ、片手だと、やりにくい」


「待ってる」


「あっ・・・!」


「ん?」


「なん、でもない」


「もしかして、下着も脱げちゃった?」


「・・・・・・・・・・」


そういう勘の良さは、今は要らないっていうのに。ばかばかばか。


「じゃさ、そのまま右手、足の間に挟んで」


「・・・え」


「いいから。して?」


「・・・・・・・・」


「濡れてない? 美月」


「・・・ばか」


「美月」


「濡れてるわよ、バカ健二」


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