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講義の終わりにロマンスを
第3章 変装と女心
真菜の話を全て聞いてから、詩織は穏やかに微笑んだ。
そして、真菜に告げた。
「ね、真菜ちゃん。内緒だけどね、ハルト君って、金曜日だけ、早めにBARに来てるの。なんでか分かる?」
不思議そうに瞳を瞬かせる真菜に、詩織は、とびきりの悪戯を仕掛けるような、茶目っ気のある笑みを浮かべた。
「金曜日はね、佐々木さんっていう人が早番で来るんだけど、時々、ハルト君が先に来てることもあるんだって」
「え・・・」
何でなのか、考えてみて。
そう告げてから、詩織は立ち上がった。姿見の前でクルリと1回転してから、真菜に片手を差し出す。
「私の演奏、聞いて行ってくれる?」
その笑顔は、真菜の瞳には、まるで同じ年の友達の笑顔のように、屈託なく映った。