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講義の終わりにロマンスを
第4章 決戦の金曜日
■決戦の金曜日■
背後で聞こえた鈴の音に、小鳥遊は振り返るより先に口を開いた。
「あれ? 早いっすね、佐々木さん。まだ2時過ぎじゃ―――」
そこで、彼の言葉は止まった。
閉じたエレベータの目の前に、制服姿の真菜がいる。
眼鏡はそのままに、髪を解いた彼女は、自分から乗り込んでいながら、小鳥遊よりも驚いた表情で固まっていた。
「真菜、ちゃん…」
「こんにちは、先生」
小鳥遊の声にハッとしてから、真菜が髪を揺らして頭を下げた。
その姿に、小鳥遊はテーブルのノートを閉じながら、椅子を引いて彼女に向き合った。
ゆっくりと、足元を確かめるように歩み寄る真菜は、いつもの制服姿ではあるものの、上は、いつものニットを身につけず、半袖のシャツにリボンタイのみで、胸の膨みや肌理(きめ)の細かい肌などが見て取れる。
あの日の夜、自分が仕出かした自慰行為を思い出し、罪悪感から自然と視線が逸れる。
「なんで、俺が、ここにいるって、・・・」
苦々しく呟く小鳥遊に、真菜がか細く答える。
「詩織さんに、聞きました」