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講義の終わりにロマンスを
第4章 決戦の金曜日
泣き出す真菜に、小鳥遊がすかさず立ち上がった。
「あっ、ごめんね。真菜ちゃん。あの、俺、・・・ごめん!! 火曜日、急にドタキャンとか、驚いたよね!?」
泣き止まない彼女に、思わず立ち上がると、その肩に触れようと腕を伸ばして躊躇する。
「あー、なんていうかさ、その、体調が悪くて。こんなの、教師として失格だとは分かってるんだけどさ! いい年して、自己管理も出来ないとか、ダメだよな、俺!」
結局、真菜の肩に触れられなかった小鳥遊の手が、空中で上下にせわしなく動いた。
「でも、その、ちゃんとね! その、授業はしなきゃと思ってるし、君が大学行くまで、ちゃんと見届けようと思ってて!! 見届けるっていうと、何か偉そうで違うかな、そもそも―――」
焦って喋り続ける小鳥遊の言葉に、真菜の口元が柔らかく綻んだ。
「よ、かったぁ」
「―――、え」
思わず言葉を止めた小鳥遊に、真菜が心底安堵した顔で笑った。
「先生、私のこと、見捨てたわけじゃ、なかったんだ・・・」
それは、真面目で大人しく、常に授業には真剣に臨む真菜の、初めて見せる素直な甘えの表情だった。