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まのめのロイン
第2章 答
ああ、俺もその場にゃいないよ。
もう少し先で説明するが、俺はその場にいてその場にいない。
まあ、その、なんだ、一人で呟くテレビみたいなもんだと思っておいてくれ。今は。
深夜。家族も寝静まって自分の部屋。
やっちまいがちなシチュエーションだ。
とにかく人に知られたくないなら、何か秘密を抱えた女子高生なら、いや、男でもだが――犯しがちなミス。
彼女のことは笑えねえ。なんたって、俺だって通った道だからな。
その男――黒い言葉の中から生まれ、それを身に纏った痩せた男は、しわがれた苦痛の呻きをやがてゆっくりと喉に収め、こう言った。
「……何故だ?」
それは、低く、重々しく、小さな、しかし、離れているというのに耳元で囁かれたような問いかけだった。
言葉は今、初めて空気を震わせた。