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下剋上ラバーズ
第2章 めんどくさい隣人

 ――さかのぼること約三か月。つまり四月。

『百田。百田沙耶。……また欠席か』

俺が『百田沙耶』を知ったのは、本人に出会う前のことだった。

少人数制で、毎回点呼を取って出席確認する木曜一限の講義。『百田沙耶』は、初回授業から一度も出席していない不名誉な強者として、この講義においてはちょっとした有名人だった。

『来週休んだら単位出せないぞ……。誰か百田の知り合いいないのか』

 いたら引っ張り出して来い、と呼びかける先生に応える学生は一人もおらず。

 馬鹿なやつだな、なんのために大学入ったんだよ。と、俺は思っていた。やる気のないやつは、勝手に自滅すればいいんだ、とも。

義務教育じゃないんだ。ぜんぶ自己責任。

所詮俺には関係のないやつの、どうでもいい他人事だった。



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