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下剋上ラバーズ
第3章 「抱かせて!」
「……髪乾かせよ。風邪引くぞ」

 風呂から上がったばかりらしく、まだぐっしょりと濡れている沙耶の頭を乱暴に揺する。

「んえーめんどくさい。真尋乾かしてー」

「自分でやれ、それぐらい」

「えー、やっぱケチー」

「お前がズボラなだけだろ」

「わーかったわかった。乾かしゃいんでしょー乾かしゃ」

 と言いながら、沙耶はやっぱり雑誌に目を落としたまま動こうとしない。

 あー、くそ、手がかかる。

 俺はドライヤーを掴むとコンセントを差し、沙耶の後ろにまわりこんで無言で熱風を浴びせた。

すると沙耶はそれを予期していたように俺を見上げて、「ありがとー」と言う。

 ……ほっときゃいいのに、なんでこんなことをしてしまうんだか、自分でも謎だ。



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