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蜜刻に揺れて
第2章 Whimsical star
ジリジリと胸が焦げ付く様な焦燥感に静は大きく息を吸うとくるりと踵を返し、歩き出した。
少しでも早くその場を離れなければ。
「静?」
遠くならない声の距離に追い掛けて来ているという事がわかる。
「静?あー…ハナコ!ハナコちゃん?ハナコさーんー、待ってよ〜」
軽い声のトーンに苛立ちがむくむくと沸き上がってきた。
駅前のそれなりの人混みで、何度もスクリーンに映し出された顔で、その特徴のある声ときたら、あちこちからヒソヒソと声が上がっている。
「まさか、だよね?」
「でも、あの声だし…なんか似てない?」
「聞いてみる?」
ぐっと堪えて振り返ると、ほんの二メートル後ろに立っていた。
「自分の立場!解ってる?!」
「まぁね」
「だったら!」
「ハナコが無視するんだもーん、やっと会えたのに」
サングラスを掛けていてもその笑顔の無邪気さが伝わって、静は毒気を抜かれて額を押さえた。
「ハナコ、俺お腹減った、なんか食いに行こう」
「えっ?!ちょ…」
手を引かれてタクシーに押し込まれると、苛立ちも何処かへ行ってしまい、代わりに呆気てわざと大きな溜息をついて見せた。
少しでも早くその場を離れなければ。
「静?」
遠くならない声の距離に追い掛けて来ているという事がわかる。
「静?あー…ハナコ!ハナコちゃん?ハナコさーんー、待ってよ〜」
軽い声のトーンに苛立ちがむくむくと沸き上がってきた。
駅前のそれなりの人混みで、何度もスクリーンに映し出された顔で、その特徴のある声ときたら、あちこちからヒソヒソと声が上がっている。
「まさか、だよね?」
「でも、あの声だし…なんか似てない?」
「聞いてみる?」
ぐっと堪えて振り返ると、ほんの二メートル後ろに立っていた。
「自分の立場!解ってる?!」
「まぁね」
「だったら!」
「ハナコが無視するんだもーん、やっと会えたのに」
サングラスを掛けていてもその笑顔の無邪気さが伝わって、静は毒気を抜かれて額を押さえた。
「ハナコ、俺お腹減った、なんか食いに行こう」
「えっ?!ちょ…」
手を引かれてタクシーに押し込まれると、苛立ちも何処かへ行ってしまい、代わりに呆気てわざと大きな溜息をついて見せた。