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蜜刻に揺れて
第2章 Whimsical star
大人しく座り、手持ち無沙汰で、湯葉の刺身に手を伸ばす。

「女に不自由してないでしょ?なんでこんな…」

可愛げのない自分にと言いかけた言葉に、静自身が落ち込んだ。

仕事もプライベートもガタガタの日々。

何も出来ない、少しも満たされない。

「ん」

俯いていた視線を上げると、竜がスプーンに掬った柚子のシャーベットを差し出していた。

「…いらない」

「あ、そ」

あっさりと自分の口に戻す竜。

「あのね!いらないって言ってもいいから食えよって言うのが普通でしょ?」

「そうなの?俺、そういう駆け引き出来ないから」

シャーベットはあっという間に竜の腹に収まった。

「女と言うよりセックスには不自由してない、生理的な反応はする、でも、今したいと思うのは静になんだけど、どうする?」

真正面から見据えられた飾り気のないそれに、静は口を開けて目を瞬かせた。

「ど、どうするって…言われて、も…」

「する?しない?」

「お、なかいっぱいになったからヤッとく?みたいなの、でしょ?」

「10代のガキじゃないんだから、流石にそれはないって、フツーに静に欲情してんの」

「よ、欲情って!ど、何処らへんにそんな要素が…」
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