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蜜刻に揺れて
第3章 leave behind
それが何を意味するのか静には全くもって不明だった。

「…ハタチやそこらのお嬢さんじゃないんだから、ちゃんと割り切るよ?」

静は冷静に返したが、竜は何故か笑顔を向けてドアを開けた。

脱ぎっぱなしで上がる竜が振り向くと、静は脱いだパンプスをちゃんと揃えていた。

「ハナコ、偉い偉い」

「ちょっ…!何?重いっ!」

屈んでいた静の頭を撫でながら伸し掛る竜。

エレベーターの甘い雰囲気は何処へやら。

「静、いい匂いがする、香水…じゃあないな、何?」

「えー?あ、ポプリかなぁ?」

「ポプリねぇ、ハナコってオンナノコだねぇ」

耳元でふんふんと鼻を鳴らしながら戯れる竜を、静は手で払い退ける。

「お風呂入る?シャワーでいい?」

急にそっち方面へ話しが振られると静は怪訝な表情を隠し切れない。

「お風呂、入る…」

「溜めるの面倒くせ!そこ風呂だから、シャワー浴びたら、お湯張っといて」

「何で私が?!」

「俺、シャワーでいいもん」

静の荷物を持ってリビングへ消えていく竜を、呆れながら見送った。



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