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蜜刻に揺れて
第3章 leave behind
「俺もねー…ここまで来るとは思わなかったんだよね、歌うのは好きだったけど、まさか、ね」

「変なの、プロ目指してなかったの?」

「目指してなかった、けど、何処まで通用するのか試したかった」

「あっそ」

「あー興味ナシ?」

竜の腕の中で、竜の匂いに包まれると、1日の疲れに身体が重くなる。

泣き腫らした瞼も重くなる。

「ハナコさーん?ここにナニしに来たか覚えてますかー?」

「うん…わかってるってば…」

ため息が遠くに聞こえ始める。

「ったく…良く頑張ってる、知ってるやつはハナコの頑張りをわかってるよ」

「ふふ…ありがと…タロ…」

「静…っと…ば……ろ…れの…だ……な…」

「タローのこえ…てつみたぃ…」

「はぁ?」

その驚愕の声は最後に眠りの淵へと落とす鐘の音の様だった。



















寝返りをうつと、視界の端に朝陽を感じた。

眩しさから逃げようと、再び寝返りをうつと爽やかなシトラスに混じって甘い香りが鼻腔をくすぐる。

薄っすらと目を開くと目の前には引き締まった肩甲骨が在った。

「えっ…あ、ああっ!」

思わず状況を飲み込んだ声が抑えきれない。

「うーるせー…」

「ごめっ…ぁ…」

身体に絡み付いていたシーツを覗くと、ちゃんと衣服を身につけていた。

竜も裸なのは上半身だけらしい。





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