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蜜刻に揺れて
第4章 Unclear delineation
「またまたぁ、いいじゃん、しょーもない元カレを忘れるには新しい恋が一番だよ!」

「いや、あの、円、違うから!」

静は恐れ多い円の発言に、リビングを気にしながら、何とかそれ以上の言葉を抑えようとする。

「今日は時間ないから、また今度ゆっくり話そ!紹介してね!あ、彼氏さーん、お姉ちゃんをよろしく!」

言いたいだけ言って円は帰って行った。

玄関が閉まると静は重い足取りでリビングへ戻る。

入り口で立ち止まるとそっと中を伺った。

不貞腐れた様にソファーに腰掛け、背もたれに寄りかかりながらわかっていたかの様に静を目に留めた。

「えー…っと…重ね重ね申し訳ありません…」

「いつ別れたの?」

「先月…」

「可愛気がないって、フラれた上に仕事も異動になって?」

寸分違わない竜の指摘に静はただただ頷いた。

「猫、リュウって?」

「あれは円が拾ってきた子で、もう二年位前からだから!」

「俺も竜なんだけど?」

「知ってるよ、色々…その…曲も聴いたし、雑誌とかバンバン出てるし、CMとか毎日テレビでも何処でも見るもん」

「へぇ、一応興味は持ってくれたワケだ?」

何処か拗ねたような口ぶりの竜。

何故そんな人が此処に居るのか。

返事が想像出来ないから、尋ねられない。


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