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蜜刻に揺れて
第4章 Unclear delineation
「ハナコさぁ、顔に出てるよ?だだ漏れ」

手の甲で顔を隠す静に竜は柔らかな笑顔を浮かべる。

「嫉妬したの、他の男に盗られるなんて笑えない」

「…私に…そんな…どこが…」

困惑す静は竜を直視出来なくなる。

あんな出会いは事故の様なものだ。

傷が癒えれば事故ったことすら忘れる様な。

「やっぱこの前、無理矢理にでも起こしてやっとくべきだった」

「なっ…!?」

「静は俺のもんなの」

「ちっ、違うわよ!」

立ち上がった竜はゆっくりと歩を進める。

静の足は床に縫い付けられた様に動かない。

「タロー!ストップ!」

「俺は犬か」

鼻で笑いながら壁に押し付けられ、静の両脚の間に膝が割り入れられる。

「俺の事どれくらい考えてた?」

「ぜ、全然っ!すっかり忘れ…っふっ…ぅっ…ンッ…」

言い終わらない内に口唇を塞がれる。

キスなんて甘いものではなく、口を塞いだだけのそれ。

鼻から息を吸えば、いつかの竜のシトラスの香水に埋め尽くされる。

静の手はいつの間にか竜のTシャツを握っていた。

顔を背けようとすれば、大きな両手に頬を挟まれて動けない。

「タ、ロ…」

「俺が欲しい?」

耳までカッと熱くなる。

「俺は静が欲しい」

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