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蜜刻に揺れて
第1章 change the neworld
「ヤバいー!もうツアーTシャツ売り切れそうだって!」
「うそー!早く早くっ!」
柵を隔てたモールの通路を女の子2人が足早に駆けていく。
ツアーTシャツの単語にやっと周りを見渡すと、同じTシャツやマフラータオルを身に付け、ロゴの入ったカバンやキーホルダーを持った女の子が其処彼処に溢れていた。
「9second?」
ロゴを小声で読むと脳裏に僅かながらの情報が浮かぶ。
アイスコーヒーを飲み終えるとパンプスを探したが、これといった決め手に欠けてしまい、頭を冷やすためにもと全くの冷やかしでライブ会場へと足を向けた。
まだ夕方にも差し掛かっていないのに会場は人で溢れていた。
グッズ売り場には長蛇の列。
何処もかしこも期待の笑顔に埋め尽くされていた。
単純にそれだけ夢中になれる対象があるのは羨ましい。
喪失感に襲われながら、静は踵を返した。
「すいませんっ!」
大きなダンボールを抱えたスタッフらしき男の子とぶつかって荷物を散らかしてしまう。
「こちらこそ、ごめんなさい」
静は荷物を拾い、スタッフは手紙やらプレゼントを箱に仕舞う。
「失礼します」
彼は小走りでその場を去って行った。
「うそー!早く早くっ!」
柵を隔てたモールの通路を女の子2人が足早に駆けていく。
ツアーTシャツの単語にやっと周りを見渡すと、同じTシャツやマフラータオルを身に付け、ロゴの入ったカバンやキーホルダーを持った女の子が其処彼処に溢れていた。
「9second?」
ロゴを小声で読むと脳裏に僅かながらの情報が浮かぶ。
アイスコーヒーを飲み終えるとパンプスを探したが、これといった決め手に欠けてしまい、頭を冷やすためにもと全くの冷やかしでライブ会場へと足を向けた。
まだ夕方にも差し掛かっていないのに会場は人で溢れていた。
グッズ売り場には長蛇の列。
何処もかしこも期待の笑顔に埋め尽くされていた。
単純にそれだけ夢中になれる対象があるのは羨ましい。
喪失感に襲われながら、静は踵を返した。
「すいませんっ!」
大きなダンボールを抱えたスタッフらしき男の子とぶつかって荷物を散らかしてしまう。
「こちらこそ、ごめんなさい」
静は荷物を拾い、スタッフは手紙やらプレゼントを箱に仕舞う。
「失礼します」
彼は小走りでその場を去って行った。