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蜜刻に揺れて
第6章 Ambiguous Peony
初めての打ち合わせの席。

静は平静を装いなるべく自然な笑顔を貼り付けた。

「そんなに緊張なさらないでください、良いものが出来るように我々も協力しますから」

広告担当の黒沢 雪夜は爽やかな笑顔を向けた。

航平に脇を小突かれて、静は笑って誤魔化した。

「黒沢さん、CMコンテの資料お持ちしました」

「相馬、同席して説明をお願い」

20代前半だろうか。

ふんわりとした柔らかな雰囲気を纏う彼女は雪夜の隣に座った。

「相馬 あいりと申します、今回のL-sinkシリーズのテーマは…」

あいりは慣れた口調でしっかりと細部まで説明をしてくれた。

静は感心しながら、資料の空白欄にメモを走らせる。

「花材は芍薬、ユリ、バラ、ラナンキュラス、デルフィ、アネモネを予定しています、色がハッキリしたものを他にも数種類」

「はい、ではそちらはお任せします」

にっこりと笑うあいりにつられて航平も静も頬を緩めた。

帰り道のカフェで遅めのランチをとる。

「相馬さん、可愛かったねー」

二人は声を揃え、同じように頷いた。

「可愛くて、仕事も出来るなんて非の打ち所がないな」

「あんなアシスタントなら私も欲しい…」
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