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蜜刻に揺れて
第7章 callupme
そんな竜の横顔を盗み見る。

もしかしたら。

もしかしたら、竜は。

撥春の隣でリュウを撫でるあいり。

撥春の視線もまたリュウ以外を眺めている気がした。

将人も啓介も司も怜二も…浩一郎も、何となく触れない様にしているのだろうか。

将人が持ち出してきた次のシングルの話が無ければ、その空気は変わる事は無かったのかもしれない。

内容を濃くしてああでもない、こうでもないとアイデアを出し合う姿はアーティスト以外の何者でもない。

「この話しが始まると輪に入れないですよ」

そっと席を隣に移動してきたあいりが耳打ちする。

膝には相変わらずリュウがいて、静は撥春と竜の視線の行方を追ってしまう。

が、今はリュウどころではないらしい。

「秋月さんと付き合うんですか?」

「えっ?ええっ?!まさかっ!」

思わず声を大きくして否定した静に皆んなの視線が集まり、肩を竦めた。

「な、なんで…」

「雰囲気が…なんかそうかなーって」

あいりの曖昧なそれに静は何とも返せずにいた。

「隣に座ってたのが自然で」

褒められたのかもわからない。

自然だから?

竜はいつもの悪戯な笑顔を浮かべて、さっき見た表情の欠片すら残っていなかった。

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